つい最近まで「ノイズが少ない」とされてきたツイッターだが、ここに来て「炎上状態」に陥るケースが目立ち始めている。大手飲料メーカーがキャンペーン告知にツイッターを利用したところ、「スパム」だと批判されたり、ヒッチハイクの様子をツイッターで紹介している女子大生が、泊めてもらう家の住所を誤って公開してしまい、騒動に発展したりしている。ツイッターの活用も、今後は慎重さを求められることになりそうだ。
騒動が起こったのは、コーヒー飲料メーカーのUCC上島珈琲(神戸市中央区)が行ったキャンペーンだ。UCCでは、コーヒーをテーマにしたエッセイなどを募集し表彰する「第11回UCC Good Coffeeキャンペーン(コーヒーストーリー大賞・コーヒーアート大賞)」を行っており、この告知にツイッターを活用しようとした。
わずか2時間後にはキャンペーン中止に追い込まれた
具体的には、ツイッター上の書き込み(ツイート、つぶやき)の中から「コーヒー」「懸賞」といったキーワードが入ったものを探しだし、書き込みに返信する形で、複数の「ボット(bot)」と呼ばれる自動プログラムが
「コーヒーにまつわるエッセイとアートを募集中!エッセイで賞金200 万円!アートで賞金100 万円!締切間近!!」
と、特設サイトに誘導するためのメッセージを送信する、というものだ。 このPR活動は2010年2月5日の午前10時に始まったのだが、「突然、見知らぬ人から知らないメッセージが送りつけられた」と不快に思った利用者も多かったようで、ツイッター上には直後から
「うわーwこれはスパムだw」
「UCC公式スパムbot」
といった声が続出。わずか2時間後の正午には、キャンペーンの中止に追い込まれた。さらに同日午後には、UCCは「今回の事態を深刻に受け止め、今後、社内管理体制並びに情報管理体制の徹底を図りたい」とするコメントを発表し、陳謝した。
この騒動をめぐっては、上記のようにUCCを批判する声がある一方で、迅速な対応を評価する声や、
「スパムが嫌ならブロック(スパムが送られてこないように設定)すれば良い」
という比較的冷静な受け止め方もある。
所持金ゼロ旅行の女子大生が宿泊先の住所誤って公開
翌日の2月6日には、所持金ゼロで全都道府県制覇を目指す女子大生が、ツイッターをめぐるトラブルに巻き込まれた。ツイッター上で旅行の様子を報告する一方、移動手段や宿泊場所を支援してくれる人を募集。そのやり取りの中で、
「相手の住所は●×(編注: 実際の書き込みは、実在する住所)なのですが、 ちなみに@●×(編注: 実際のユーザー名)さんは明日はあまりお時間ございませんでしょうか?」
と、宿泊先をかなり絞り込める書き方をしてしまった。
ツイッター上には、その軽率さを非難する書き込みが相次いだ。さらに、多くの利用者が「リツイート」(RT)と呼ばれる機能を使って、女子大生の発言を引用していたため、書き込みを削除しても、RTされた発言はネット上に残る形になった。
このことから、女子大生は
「本当に皆様ごめんなさい。削除お願いします」と困惑した様子で、
「どうやって人のツイートの削除できるのですか?自分のはもちろん削除しましたけど」
「今RTしていた方にはご連絡いたしました。本人様にもお詫びいたしました。本当に今後気をつけます。最低でした。本当にすみませんでした」
と、平謝りすることになった。
女子大生は、「所持金ゼロで全国制覇」の試みが各メディアで取り上げられるなど、「知名度急上昇中」だっただけに、その波紋も大きかったようだ。