2010年最初の閣議が開かれた直後、鳩山政権に激震が走った。新政権の予算編成を指揮してきた藤井裕久財務相が鳩山由紀夫首相に辞意を伝えたのだ。「健康上の理由」とされているが、暫定税率をめぐるドタバタが、今回の引き金になったとの見方が出ている。
「健康上の理由というのは最も強いカード」
藤井財務相は2010年1月5日の閣議後、鳩山首相と協議し、体調不良を理由に辞任の意向を伝えた。鳩山首相は慰留したものの辞意を翻すのは難しく、翌6日に辞任を受け入れた。後任には菅直人副総理が就くことが決まった。
藤井財務相は2010年度予算の編成作業が完了して3日後の09年12月28日、疲労と高血圧のために検査入院していた。30日の臨時閣議には入院先から出席。その後の会見で予算編成について「相当な重圧」「しんどかった」とこぼしたが、辞任するそぶりは見せなかった。
ところが年が明けてすぐ、鳩山首相に辞意を伝達した。内閣最高齢の77歳という年齢や予算編成の激務を考えれば、健康状態が悪化して職務を全うできなくなったという理由も分からないわけではない。時事通信の田崎史郎解説委員長も、フジテレビの情報番組『とくダネ!』で
「政治家がやめるときに様々な理由をあげますが、健康上の理由というのは最も強いカード。だから、これを覆すのは難しいと思いますね」
とコメントしている。だが、国会での予算審議を間近に控えた重要な時期。突然の辞任騒ぎに、永田町周辺では「理由は健康上の問題だけではないのでは?」という噂が飛び交っている。