鳩山由紀夫首相がマニフェストにあったガソリン税の暫定税率廃止を撤回した。景気悪化で落ち込んだ税収に対処するためとする一方、「地球環境」を考慮した結果だというが、これはとってつけたような言い訳だ。もともとそんな考えはなかったことが明らかだからだ。
鳩山首相は2009年12月21日夜、「暫定成立の仕組みそのものはいったん廃止するが、税率は維持することにした」と話し、10年度予算編成で制度としての暫定税率は廃止するが、新しい制度でもって現在と同水準の課税措置を導入する方針を表明した。
3週間足らずで方針が180度変わってしまった
マニフェストには「暫定税率は廃止して、2.5 兆円の減税を実施する」と明記してあり、事実上の公約破りだ。鳩山首相も「マニフェストに沿えなかったということには、素直にお詫びをしなければならない」と陳謝。暫定税率維持の理由については、税収の落ち込みと「地球環境の問題」があるとし、
「まずは地球環境を守ろうじゃないかという、国民の皆さんの様々な意思も大事にしたい」
と説明した。
だが鳩山首相は12月3日の段階で「暫定税率を廃止して、また同じ額を平行移動して、それを環境目的だから許してくれ、みたいな議論をしても、それは許されない話」と明言。「環境目的」で暫定税率維持はあり得ないとしていた。
その後、3週間足らずで方針が180度変わってしまった訳だが、報道陣からそれについて問いただされても、
「コペンハーゲンに行って、10時間ほど各国首脳と色々議論してきた。その中で、地球環境を守らなきゃならんという思いがかなり強く、体の中に入り込んだというのは、事実としてある」
と言い訳している。
鳩山首相は野党時代の08年1月、いわゆる「ガソリン国会」でも、暫定税率廃止を訴えていた。これに対し福田首相(当時)は
「地球温暖化対策に逆行しかねない暫定税率の廃止を行うことは、国際的な理解を得がたいのではないかと考えている」
と主張していた。鳩山首相は当時、福田元首相の考えに賛成はしていなかった。どちらかというと批判的だったはずだ。