部屋の観賞用、贈り物や冠婚葬祭用と幅広く使われるはずの「生花」が、不景気の影響を受けて、販売量、金額ともに前年を下回り、厳しい状況だ。売れないので値段は下がる一方で、採算が取れなくなった生産者は廃業もやむを得ないと悲鳴を上げる。
大手卸売業者フラワーオークションジャパン(FAJ)によると、2008年3月から切り花の取扱量が落ち込んでいる。不景気が追い打ちを掛けて、08年11月以降はさらに減った。09年10月は取扱量が前年同月比13%減、金額が19%減と大幅に減った。11月は取扱量が同比7%増、金額は4%減で、まずまずのように見えるが、08年11月の水準が低いので回復したとは言い難い。
10本買っていたお客さまが8本に
FAJ切り花営業課の担当者は、
「(花屋では)売れなくて在庫の花であふれている状況で、仕入れを抑えているようです」
と話している。
花屋チェーン「小田急フローリスト」では09年11月の客数が4%減、平均単価が7%減だった。
小田急ランドフローラ園芸事業課の担当者は、
「うちは駅前にあり立地がいいので客数はそんなに減っていませんが、立地の悪い店は厳しいと思います。ただ、当店も客単価が落ちています。10本買っていたお客さまが8本に、5本買っていたお客さまが3本になるという具合に渋りが出ています」
と打ち明ける。
業界全体でみても、単価の高い開店祝いの花や葬祭用花も出が悪いようだ。
小田急ランドフローラの担当者は、
「花屋の場合、不況の影響が半年から1年経ってから出てくると昔から言われていて、悪くなったのは09年になってからです。また、景気がよくなっても花屋はすぐに回復しないとも言います」
といい、厳しい状況がしばらく続きそうだ。