長谷川洋三の産業ウォッチ
ホンダ社長の危惧:「今のホンダはサラリーマンが多い」

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「良いものを安く提供するのがホンダの経営。その意味でハイブリッド車のインサイトは成功した」

   ホンダの伊東孝紳社長は2009年11月17日、東京都内で開いた本田財団主催の第30回本田賞授与式後のレセプションでホンダ経営の強さを尋ねた私にこう強調した。ホンダはハイブリッド車や小型車が健闘し、2009年4-9月期連結決算で営業黒字に転換、コスト減も寄与して2010年3月期決算では当初予想よりも売り上げ、利益とも大幅上振れとなる見通し。インサイトは初年度から黒字とあって喜びを隠さない。

   もっとも「技術者に必要なのはチャレンジ精神だ。私自身もアルミ製のスポーツカーを開発したときには、全責任を任された。赤字だったが達成感はその後の自信になった。しかし今のホンダはサラリーマンが多くなって、かつてのような挑戦意欲が欠けている」と、技術者に対する注文も忘れない。「CO2排出削減問題は自動車業界最大のテーマ」と考える伊東社長は、インサイトの好調を追い風にしばらくはハイブリッドカーの普及拡大に全力投球するが、究極の環境車は燃料電池車と見て将来戦略にも備えを怠らない考え。

   第30回本田賞は世界で初めて子宮頸がんの予防ワクチンを開発したオーストラリアのイアン・フレイザー博士に授与された。伊東社長はその祝辞の中で「ホンダの創業者の本田宗一郎さんは妥協を許さず、絶えず新しいものに情熱を注ぐチャレンジ精神の持ち主だった。私は医学のことはよく知らないが新しいことに挑戦する精神では同じだ」と同博士を称えた。

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