亀井静香郵政・金融担当相は2009年11月6日の会見で、「やっぱり役人は優秀ですよ」と述べ、「役人の能力を政治家が生かしていくのが政治主導」という持論を展開した。鳩山内閣では、菅直人国家戦略担当相が10月31日に「霞が関は大バカだ」と講演で発言して物議を醸したが、普天間問題と同じく官僚に対するスタンスでも「閣内不一致」があらわになった。
亀井担当相は大臣就任以来、さまざまな問題発言で周囲を振り回しながら、中小企業円滑化法案の国会提出や日本郵政の役員刷新などで存在感を発揮してきた。「新政権発足からここまでを振り返ってどう思うか」と会見で問われると、亀井担当相は大塚耕平副大臣や田村謙治政務官の働きぶりをほめつつ、「事務方も無理したのではないかと思う」と金融庁官僚の労をねぎらった。
そして、「役人を敵視してばかりではダメなんだ」と、民主党が公約にしていた「脱官僚路線」を暗に批判した。
「政治主導といったって、政治家がいばっていればいいというもんじゃない。やっぱり役人って優秀ですよ。そういう優秀なマシンを、政治家の言うことにしたがってどう働いてもらうかということが政治主導なんだ」
鳩山首相にも「役人をうまく生かせ」と直言
亀井担当相は、鳩山由起夫首相にも「役人の能力を政治家がボンボン生かしていくのが政治主導」という持論を伝えているという。しかし、民主党は選挙前のマニフェスト(政権公約)で「脱官僚」を前面にかかげていた。
つい最近も10月31日に、菅国家戦略担当相が中央省庁の官僚について
「知恵、頭を使ってない。霞が関なんて成績が良かっただけで大バカだ」
と発言している。政権についてからの実際の運用では、日本郵政社長や人事院人事官に官僚OBを起用して「公約違反」と批判されているが、菅国家戦略担当相の発言は、そのような「軌道修正」を快く思わない議員が閣内にもいることを示したといえる。
亀井担当相の官僚擁護論は、それと真っ向から対立するもの。普天間基地の移設をめぐっては各閣僚がさまざまな主張を公言する「閣内不一致」の状態を呈しているが、官僚に対する姿勢でも政権内部には亀裂が生じているようだ。