岡田克也外相が自らの発言を捏造されたとして、2ちゃんねるに削除要請をしている問題にからみ、2ちゃんねるの書き込みが激減するという現象が起きた。削除要請をしたスレッドで「迷惑行為」にあたる書き込みが大量にされたため、大規模なアクセス規制が実施されたのが原因とみられる。
2ちゃんねるなどインターネットの話題を紹介している情報サイト「デジタルマガジン」を運営するフリーライターの篠原修司さんによると、2009年10月28日深夜に2ちゃんねるで大規模なアクセス規制が実施された。
2ちゃんねるでは書き込みの削除を要請する場合、専用の「削除依頼スレッド」を立てる必要がある。削除の是非をボランティアの「削除人」に判断してもらうためだ。しかし岡田外相の事務所が立てた「削除依頼スレッド」では、削除とは関係ない無意味な書き込みをして「迷惑行為」と認定されるケースが頻発。匿名掲示板という性格上、ユーザー単位での規制ができないため、迷惑行為をした人が使っているプロバイダーごとにアクセスが規制される事態が大量に発生した。
28日深夜に規制されたIPアドレスは90件以上にのぼるという。篠原さんは、
「通常のプロバイダー規制は多いときでも10件ぐらい。90件以上というのはあまり見かけない」
と話す。このようなアクセス規制はプロバイダーごとのIPアドレス単位で実施されるため、ルール違反をしていない人まで2ちゃんねるでの書き込みができなくなってしまう。その結果、2ちゃんねる全体の書き込みが大きく減るという現象が起きたのだ。
「2ちゃん離れ」につながる可能性は少ない?
篠原さんによると、
「規制前日の10月28日までは約240万件あった書き込みが、10月29日時点で約160万件、10月30日時点では約140万件にまで減少した」
という。つまり、岡田外相の削除依頼をきっかけにしたアクセス規制で、2ちゃんねるの書き込みが3分の2に減少したというわけだ。
このような大規模な利用制限は「2ちゃんねる離れ」を招くのではないかとも思われるが、篠原さんは「そういう可能性はないでしょうね」と否定する。ここまで大規模なものは珍しいとしても、アクセス規制自体はよくあることだし、書き込みはできなくても閲覧はできるし、パソコンからの書き込みが無理なら携帯からという手段もあるからだ。
同様に、ITに詳しいジャーナリストの井上トシユキさんも「この程度では2ちゃん離れは起きないでしょう」と話す。
「2ちゃんねる以外にも掲示板サイトがあるといっても、ここまでフリーハンドで書けるところは少ないし、2ちゃんねるほど情報が集まるサイトがないのも事実。2ちゃんねるを使うことがルーティン化している人にとっては『今さらどこへ行けばいいの?』となってしまうんですよね」