新型インフルが、季節性インフルより重症例が多いことが分かった。重症患者には持病持ちが多いと言われたが、その6割で持病がなかった。今後、強毒化するかどうかは不明だが、十分な注意が必要なようだ。
A型患者の10%弱が重症患者
重症例が多いことを明らかにしたのは、防衛医科大学校の川名明彦教授。東京都内で2009年10月9日に開かれたシンポジウム「感染症に挑む知のネットワーク アジア・アフリカと共に」(文科省など主催)の中で明らかにした。
川名教授が同大学校病院の患者300人を調べたところ、新型インフルエンザにほぼ当たるA型陽性の感染者が8月に入って急に増えた。これは日本で本格的に流行が始まった時期に当たる。そして、この2か月半で感染者が80人となり、そのうち入院した重症患者が11人。この中には、人工呼吸が必要だったほどの患者が、2人いた。11人のうち9人は、10歳以下の幼児だった。
このことについて、川名教授は、重症者を診る大学病院であることもあるとして、一般的にA型患者の10%弱が入院となっていることを挙げ、「季節性より重症化率が高い」と結論づけた。
重症例が多いことは、この日のパネル・ディスカッションに参加した専門家らも次々に口にした。川名教授の調査結果は、専門家の一致した見方に沿っているわけだ。