家族内の殺人事件が増えているのは、大企業が日本型の家族的経営を捨てたため――亀井静香金融・郵政担当相が東京都内の講演会で口にした「経団連批判」が波紋を呼んでいる。ネットのアンケート調査では賛否が半々という状況だが、当の亀井担当相は「企業経営の変化と家族関係の崩壊の間には、強い因果関係がある」と自説の正当性をみじんも疑っていない。
御手洗会長は「亀井さん、やり方がわかりません」
亀井担当相は2009年10月5日、東京都内で行われた講演会で、
「日本で家族間の殺人事件が増えているのは、(大企業が)日本型経営を捨てて、人間を人間として扱わなくなったからだ」
と大企業を批判。日本経団連の御手洗冨士夫会長に「そのことに責任を感じなさい」と話したというエピソードを紹介した。翌6日に金融庁で開かれた会見で、そのときの模様について質問すると、亀井担当相はとうとうと答えた。
「殺人事件がいま大変な状況になっているのは、あなた方がかつての大企業の経営者と違って、従業員や下請け・孫請けを人間扱いした経営をしていないから。競争、競争ということでやったから、人間関係がずたずたに切られていった。それがあっという間に家庭の中までいって、家族関係なんかもそうなっちゃった」
御手洗会長に向かって、こう力説したのだという。
「これはね、風がふけば桶屋がもうかるみたいな、その程度の因果関係じゃないよ。もっと強いから」
そう確信しているという亀井担当相は、御手洗会長に「(従業員や下請けのために)内部留保を出せ」と迫ったという。
「あなたたちは、下請け・孫請けや従業員のポケットに入る金まで、内部留保でしこたま溜めているじゃないか。昔の経営者は、景気のいいときに儲けた金は、悪くなったら出していたんだよ」
そう亀井担当相が話すと、御手洗会長は「亀井さん、やり方がわかりません」と答えたという。それに対して、亀井担当相は「オレが教えてやる」と応じたのだそうだ。