長谷川洋三の産業ウォッチ
トヨタ社長のどっちなの:温暖化ガス25%削減に積極?慎重?

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「鳩山首相が国連総会の場で二酸化炭素(CO2)排出量の25%削減を発言したわけですから、われわれとしても一生懸命やっていきます」

   トヨタ自動車の豊田章男社長は2009年10月2日、東京・内幸町の日本記者クラブで鳩山政権が温暖化ガス削減目標として2020年までにCO2の排出量を90年比25%削減することを国際公約としたことについて見解を求めた私に、こう答えた。

   豊田社長はこの日の講演で「お客様に喜んでもらえるクルマ作り」を強調、「そのためにはなによりも人材作りが重要」と述べた。また今後100年のクルマ作りを考えた場合、「石油依存から早く脱脚し、ハイブリッド車の普及が任務だ」と指摘し、年内にプラグインハイブリッド車を販売する計画を明らかにした。脱石油を目指すトヨタとしてはCO2削減に取り組むことは当然というわけだ。

   もっともCO2の25%削減公約については産業界で異論も多いだけに、豊田社長は「(25%削減に向け)アクセルを踏むにはむずかしいことに理解を深める活動も深めたい」と条件も付けた。    

   トヨタ自動車の昨年の世界販売実積は897万台。ことしの目標は約2割減の730万台で生産過剰が続く見通し。業績回復のためには販売の拡大が必要だ。「エコカー減税に頼ることなくがんばる」と発言したものの、販売台数増だけでは黒字化実現は難しい。コスト削減、生産能力削減など多面的な対応が必要で、CO2削減についても楽観できない事情があるようだ。

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