「社長は部下を信じ切れずにいた」 カブコムは「ブラック企業」の典型か

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   ネット証券大手のカブドットコム証券(東京都千代田区)元社員が引き起こしたインサイダー取引をめぐり、同社の外部調査委員会が、調査報告書を発表した。その内容は、本来ならば秘密にすべき情報も、安易にメールで多くの人に送信してしまう「メール文化」が事件の背景にあることを指摘したほか、さらにその背景には「社長は部下を信じ切れずにいた」などと、社長のワンマンぶりを厳しく非難する異例の内容となった。

通常の社員が1日に500通のメールを受信

   問題となったインサイダー事件は、三菱東京UFJ銀行がカブドットコム証券に対して行った株式公開買い付け(TOB)をめぐり、カブドットコム証券の社員が07年3月と11月の2度にわたって未公開情報に基づいて同社株を知人名義の口座で売買していた、というもの。この社員は社内規則違反が確認されたとして、09年5月13日付で懲戒解雇され、09年6月には、金融庁が課徴金の支払いを命じている。

   事件を受けて外部の有識者で構成する特別調査委員会(委員長: 久保利英明弁護士)が設置され、再発防止策をまとめた報告書が09年7月28日に発表された。報告書はA4で39ページに及び、中でも特に目を引くのが、事件が起こった背景を分析した部分だ。

   報告書では、同社の情報管理の規程上の不備を多数指摘しており、その中で

「コールセンター担当ではない通常の社員でさえ多いときには1日に500通のメールを受信するという過度にメールに依存した文化」

と、同社の「メール文化」の異常性を指摘。さらに、2回行われた犯行は、いずれもTOB発表前に斎藤正勝社長が全社員向けに送信したメールがきっかけになっていたことを明らかにしている。

   特に2回目の犯行のきっかけになったメールについては、

「インサイダー取引の直接的原因となった点で厳しく指弾されなければならない。事実、我々のヒヤリングに対し、元社員Aは、このメールがなければ第2回目取引は行わなかっただろうと供述している」

と厳しく批判。

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