長谷川洋三の産業ウォッチ
楽天三木谷氏の夢と現実:中国ビジネスに慎重な理由

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「もちろん楽天の次のチャレンジは世界に楽天のビジネスを広げるところにある。しかし台湾で成功したからと言ってすぐに中国大陸にビジネスモデルを広げることができるかどうかは別問題だ」

   楽天の三木谷浩史会長兼社長は2009年7月3日、東京都内のグランドプリンスホテル高輪で埼玉県の上田清司知事と楽天市場の共同事業協力協定を調印した後、今後のグローバル戦略についてこう語った。三木谷氏によると「中国のグーグルに対するネット対応などを見ていると中国でネットビジネスがそう簡単にできるとは思えない」というのが中国でのネット戦略慎重論の根拠だ。

   三木谷氏は著書の中で、こういっている。

「インターネット最先進国である日本で生まれ、発信された最先端のビジネスモデルが、世界を席巻する可能性はきわめて高い。僕たちの次のチャレンジはそこにある。ある意味においては、楽天のビジネスそのものが世界へ進出するためのひとつのビジネスモデルであるとも言える。日本で育てた純国産のビジネスモデルである楽天を、世界に広げることがつまり僕の次のチャレンジなのだ」

   その流れの中で、台湾で成功した楽天モデルだが、中国のネット規制を見るとグローバル戦略を成功させるポイントは言葉だけの問題ではないということも浮かんできたようだ。中国政府は7月から有害サイトへの接続を遮断する政府指定の「検閲ソフト」を国内で販売されるパソコンに搭載すると表明していたが、米HPやデルなどが安全面を理由にソフトを搭載しない方針を表明するなど、内外の反発もあって実施前に先送りを発表した。しかし断念したわけではなく、中国のネット規制の動向にはなお注視する必要がある。三木谷氏の慎重論もその辺を読んだものだが、楽天モデルの世界発進は必要なテーマであることには変わりはない。

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