男性の「主夫」願望が高まっているらしい。結婚情報サービスの調べでは、「専業主夫でもかまわない」と考えている男性は6割以上という調査結果もある。専門家は、仕事の厳しさ、とくに正社員に仕事のプレッシャーが高まっていることが原因とみている。
妻の収入がよければ、「専業主夫」でもかまわない
弁当男子に水筒男子――家事の出来る「男子」は脚光をあびている。主婦と生活社が実施した調査(2008年11月発表)では女性の57.6%、とりわけ20代女性では72.2%が「男性が家事をすることはかっこいいと思う」と回答した。「婚活」が話題となっている中、「これからは男性の婚活にも『家事力』が必須となってくるのかもしれません」と分析している。
一方、結婚情報サービスのオーネットが2009年6月に発表した結婚意識調査では、20代男性の61.7%、30代男性の69.4%が妻の収入がよければ、「専業主夫」でもかまわないと回答している。調査はインターネットを通じて、男性1135人から回答を得た。これらの調査結果に対して、オーネット広報は「景況感も関係しているだろう」とした上で、こう話す。
「20~30代の世代的な傾向として、男女とも働き、家事をしていこうという雰囲気があります。なにごとも公平に分担しようという意識のあらわれです。それ以前は男性が働き、女性は家庭を守るといった風潮でしたが、これが崩れてきました。男性も家事に対する抵抗がなくなっていることが伺えます」
正社員への圧力が高まり、仕事をきついと感じているため?
一方、「婚活」の造語を生み出したことでも知られる、山田昌弘中央大学教授(家族社会学)もここ最近、「学生の進路調査を見ていると、なれるものなら『主夫』になりたいという男性は少なからずいます」と話す。こうした傾向は10年、20年前にはなかったという。
「理由は仕事が厳しいこと。将来の見通しが立たないことでしょう。ここ4~5年くらいでしょうか。非正規雇用のために『主夫』を望むというよりも、正社員に対する圧力が高まり、仕事をきついと感じているためだと考えられます」
とはいえ、実際に主夫願望が叶い、めでたくゴールしたケースはあるのだろうか。前出のオーネットの話では、「なかなか聞かない話です」とのことだった。調査には理想が入り込むからだ。そのため、オーネットでは現実的な方法として、男性・女性がともに仕事、家事をシェアしていく方向でアドバイスしている。
前出の山田教授も、「たとえ主夫願望があったとしても、単に家事が出来ればよいというわけではありません。家事ができるプラスαの魅力がなければ難しいのでは」とも話している。