オレンジジュースは歯に悪い? どこまで本当か

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   子どもから大人まで人気のオレンジジュースが、歯に悪い影響を及ぼすという研究結果をアメリカの歯科研究者が発表した。オレンジジュースに含まれる酸が、歯の表面を覆う固い歯のエナメル質を溶かすというのだ。ただし、唾液には酸を中和する働きがあるので普通に飲んでいる分には影響は少ないそうだ。むしろ、虫歯の原因になる糖分のほうが心配だという意見もある。

オレンジジュースに浸けたら硬度が84%減

   日本で飲まれているオレンジジュースのほとんどは、アメリカとブラジルから輸入している。農林水産省によると、2008年のオレンジの濃縮果汁の輸入量は6万2476キロリットルだった。フロリダで大型ハリケーンの被害が続き柑橘類が大幅に減産して単価が上昇。そのせいもあって、07年は7万3812キロリットル、06年は8万139キロリットルと年々減っているものの、今も昔もオレンジジュースは子どもから大人にも人気がある。

   ところが、そのオレンジジュースが歯に悪い影響を及ぼすらしい。

   米ロチェスター大学医療センター歯学研究所のレン・ヤンファン教授は、歯のホワイトニング剤の主成分である過酸化水素とオレンジジュースが歯の表面を覆うエナメル質に与える影響を調べ、結果を「Journal of Dentistry」09年6月号に掲載した。

   実験に使ったのは、人間の歯の表面を覆うエナメル質を模して、エナメル盤を唾液の中で一晩培養し、薄膜形成したもの。それを40個用意し、15個を過酸化水素に、15個をオレンジジュースに、10個を生理食塩水に浸した。1回あたり20分間浸し、1日に5回繰り返した。それ以外の時間は唾液の中で保管した。

   5日後にエナメル盤の硬度を調べたところ、オレンジジュースに浸けたものは硬度が84%も減って、表面がざらざらになるほど浸食が著しかった。それと比べれば硬度が6%減った過酸化水素の変化は微々たるものだった。食塩水では目立った変化は見られなかった。

   歯の表面は固いエナメル質で覆われているが、食事や飲み物に含まれる酸で一時的に柔らかくなる。この時に歯磨きをしたりすると、エナメル質が削れてしまうそうだ。熱い飲み物や冷たい飲み物がしみたり、歯の先が透明になったりして、この状態を酸蝕歯(さんしょくし)という。

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