日本でエイズの感染・発症者が増えて2008年は過去最多となり、うち同性愛による割合が6割にも達したことが厚労省の調べで分かった。「ハッテン場」など交流の場が増えてきたことなどが原因らしい。が、対策の遅れも指摘され、さらなる拡大が懸念されている。
ハッテン場やSNS通じ感染拡大
同性愛によるエイズウイルス(HIV)感染やエイズ発症の割合が、伸びてきている。
厚労省のエイズ動向委員会の調べでは、感染・発症者は6年連続で増え、2008年は過去最多の1557人に。うち、同性間の性的接触によるケースは968人となり、全体の6割にも上った。ただし、この94%を男性が占めている。
エイズが増えた理由について、厚労省の疾病対策課では、男性の同性愛者を中心に、感染が一定の広がりをみせていることを指摘する。東京・新宿などのゲイバーやハッテン場、そしてSNSなどのネット上で、同性愛者同士の出会いが増えているからだ。また、タレントを起用するなどした啓発活動で、検査する人が増えていることも原因としている。
エイズは血液で感染することが多い。同性愛者の方が感染しやすいのは、男性同士の性的接触で出血しやすいからだという。
同性愛者の感染が増えた背景には、対策の遅れがあるとの指摘が出ている。
日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラスの高久陽介事務局長は、「同性愛者への対策費は、国のエイズ予算全体の十数%です。同性愛による割合が6割なのに比べて、予算のアンバランスが目立ちます。比較にならないぐらい、少ないのではないですか」と話す。
豪シドニーでは、同性愛者の割合が8割もある。が、それに応じた予算配分をしているため、新規の感染・発症者が増えなくなっているという。