児童ポルノ法の改正を巡って、アダルト向けアニメ・マンガ・ゲームも規制の対象とするべきだとする動きがでている。これに対し「表現の自由を侵す」といった反発も強い。
性的描写のあるアニメ・漫画・ゲームは「準児童ポルノ」
「児童ポルノ法」は1999年に成立した。この法の中で「児童ポルノ」は「18歳未満の子どもの裸や性行為などを記録した写真や電磁的記録で、性欲を興奮させ刺激するもの」と定義。2009年6月から開かれている国会で児童ポルノ法の改正を目指している。この中に、アニメ・漫画・ゲーム禁止を入れるべきだという動きが出ているのだ。
改正論議は以前から盛んだが、08年3月に日本ユニセフ協会が「性的虐待」から子どもたちを守るために発足した「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンがきっかけとしては大きい。官民への対応を求める「緊急要望書」への署名は10万を超え、09年3月までに3度、与野党に対し提出されている。
法改正を求めているのは、(1)他人への提供を目的としない児童ポルノの入手・保有、つまり「単純所持」の禁止(2)児童の性的な姿態や虐待などを描写したアニメ・マンガ・ゲームなどを「準児童ポルノ」として違法化(3)国・公共団体の児童権利に関する教育・啓発の義務化(4)「児童ポルノ」被害者の保護体制の整備、の4つだ。09年3月までには自民、民主両党が衆院に「単純所持」の禁止などを盛り込んだ法案を提出している。
日本ユニセフ協会・広報室の担当者は、「先進7か国(G7)でいえば、日本だけが単純所持を規制しておらず、根絶の取り組みが遅れている」とし、まずは今国会で議論されている「単純所持の禁止」を訴える。同時に、今後も「準児童ポルノ」の違法化や被害者の保護を要望していくという。