大手出版社の女性ファッション誌が軒並み「部数2ケタ減」と苦戦している。「CanCam」(小学館)や「JJ」(光文社)が代表例だ。その一方で、「InRed」「sweet」(宝島社)など絶好調な雑誌もある。何が「明暗」を分けたのだろうか。
「InRed」「sweet」は絶好調
人気モデルの蛯原友里さん、押切もえさん、山田優さんが、ひと頃、表紙を飾っていた「CanCam」。1980年代に創刊され、似たような女性ファッション誌(以下女性誌)が続々と出てきたなかでもダントツの存在だった。
「モデルが他の雑誌に比べてかわいい」「エビちゃん系、もえカジ系、優OL系のように、わかりやすく提案されていて、参考になる」というのがネットに書き込まれた読者の意見で、モデルに好感を持つ読者が多かったようだ。ただこれは数年前の話で、「今は昔」になっている。
2009年5月4日付け「文化通信」に掲載された「08年下期の雑誌販売部数」(日本ABC協会レポートから作成)によると、「CanCam」は34万6466部と女性誌のなかでは売れている方だが、前年同期比でみると24.25%減と、大幅に減っている。
また、「CanCam」に並んで女子大生に絶大な人気があった「JJ」も、同24.12%減の10万9853部。JJは「お嬢様系ファッション」を得意とし、ひと頃は「合コンでモテるスタイル」としてもてはやされていた。
「MORE」(集英社)は同比10.56%減の35万2097部、「non・no」(同)も同比15.12%減の25万8648部、「with」(講談社)は同比11.06%減の33万2410部と、大手出版社の女性誌はほとんど2ケタ減だった。
その一方で、「InRed」は107.22%増の23万4583部、「sweet」は65.11%増の31万9364部、「spring」(宝島社)は37.58%増の24万867部と、「雑誌不況」をものともしない絶好調ぶりを誇っている。毎号、ブランドとコラボした付録がついていることでも人気を呼んでいる。