看護師不足が深刻だ。人手不足なのに加えて、2006年度の「診療報酬の改定」が拍車をかけた形だ。仕事が大変きつく辞めてしまう人も多い。夜勤免除の仕組みを作り、再就職をしやすくしようという試みも進んでいる。
過労死レベルの月60時間以上時間外勤務も
看護師は、募集人員が求人者数を大幅に上回っている状況が続いている。厚生労働省が2009年3月31日に発表した看護師の求人倍率は2.70倍。就業者数はここ10年、2割近く増えている。これは看護師が病院だけでなく、介護老人保健施設や訪問介護ステーションなどが増え、看護師の需要があるためだ。
看護師の需要増は、2006年度の「診療報酬の改定」も関係している。この改定を受けて、入院患者に対する看護師の数が多いほど、病院に入る診療報酬が高くなった。資金に余裕のある病院は看護師を雇う体力があるが、反対に、中小病院や地方病院は人手不足になりがちだ。そのため、病床の閉鎖に追い込まれた病院もある。中小・地方の病院は看護師一人あたりの仕事が重くなる傾向にあり、離職にもつながっている。
もっとも、看護師の労働環境は依然として厳しく、離職率は全国平均12.4%だ。都市部に限っては大阪16.8%、東京16.0%、神奈川15.4%だ。また、日本看護協会は2009年4月24日、交替勤務制で夜勤をしている看護師の23人に1人が、過労死レベルの月60時間以上の時間外勤務をしているとの推計を発表した。年齢が若いほど時間外勤務は長くなり、20代の時間外勤務は平均25.9時間。さらに、20代の4人のうち3人は35時間を超える時間外勤務をしていた。