夏の風物詩「花火大会」が不況のあおりを受けている。主催者側は、企業から集める協賛金がこの不況下で例年より落ち込むと見て、打ち上げ数を減らしたり規模を縮小したりするケースが出てきた。業績の悪化が目立つ製造業が多い地域の場合、大会を中止するところもある。今回は実施できても、来年はどうなるかわからないという不安を訴える声も上がっていて、事態はかなり深刻のようだ。
「煙になって消えてしまう花火に寄付してくれとは言えない」
花火大会のない夏は、やっぱり寂しい(写真はイメージ)
毎年8月に4万発以上の花火を打ち上げる「諏訪湖祭湖上花火大会」(長野県諏訪市)は、滝のように流れる花火「ナイアガラ」や、湖上の特徴を生かした花火が名物だ。全国から50万人の観客が訪れる。
61回目となる2009年も、たくさんの観光客が見に来ることが予想されるが、例年と様子が異なるようだ。
打ち上げ数を前年より3000発減らして4万発にする。また、2尺玉という大型花火の打ち上げも中止する。
諏訪湖祭実行委員会は、不況で地元企業からの協賛金が例年より集まらないだろうとみて、協賛金の目標額を前年より約2000万円少ない6000万円に下げた。大口協賛者だった埼玉県の企業が経営破たんした影響も大きい。同社社長が地元出身者という縁で数年前から協賛していた。
諏訪市観光課の担当者は、
「2000年以降、協賛金は右肩上がりでしたが、こういうご時世なので、しょうがないと思っています。なんとか08年と同等の規模にしたい」
と話している。
協賛金は例年より1カ月早い5月から集める。
大会を中止するケースも出てきた。
長野県須坂市で毎夏に行われている花火大会「蔵の町須坂花火の夕べ」は、製造業を中心とする市内企業から寄付が見込めないとして09年の開催を止めた。
須坂商工会議所などでつくる実行委員会によると、運営費約1000万円のうち800万円は市内の商店や企業からの寄付だ。
会議所の担当者は、こう話している。
「人員を減らしている製造業もあります。そんな時に、煙になって消えてしまう花火に寄付してくれとは言えません。従業員も納得しないでしょう」