任天堂の岩田聡社長(左)と宮本茂専務(右)
新型携帯ゲーム機「ニンテンドーDSi」が国外でも発売されたのを受け、任天堂の岩田聡社長と、業界を代表するゲームクリエーターとしても知られる宮本茂専務が2009年4月9日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開き、今後の同社のゲーム機の展開について語った。
岩田社長は、
「DSをリリースして以降、顧客層が大幅に広がった。これは、私たちの想像を超えるもの。06年から08年にかけて、北米・欧州市場で販売が伸びている」
などとして、同社が08年から本格化した景気後退の影響をあまり受けていないことを強調。その上で、
「現在は、1つのDSを複数の人で共有しているケースが多い。今後は『1家に1台』から『1人に1台』を目指したい」
とした。
具体的な今後の展開については、宮本氏が
「町中でサービスを受けられるような展開をしたい。例えば、オーディオガイドのようなもの。『DSを持っていれば生活が便利になる』というのがテーマ。大事なのは、『利用者はDSの本体だけ持っていれば良くて、ソフトは買わなくていい』ということ」
として、今後は商店街で地図をダウンロードできるサービスをはじめ、病院や教育現場への事業展開を検討していることを明らかにした。
会場からは「ケータイは脅威ではないのか」という質問も飛びだしたが、岩田社長は
「iモードが出たときやノキアの新しい端末が出たときなど、『ケータイに飲み込まれるのではないか』と、同様の質問を何回も受けた。『もう、イノベーションは必要ない』と、これまでと同様のものを作り続ければ、ケータイに飲み込まれてしまうだろう。だが、我々は、そうするつもりはない。『ケータイにできないことを我々が提案できるか』ということを考えながら、ものづくりをしている」
と、強気の姿勢を示した。
Wiiは発売以来一番不健全な状態、と認める
また、不況が同社に及ぼす影響については
「不況の時、ウィッシュリスト(欲しいものリスト)の1番目と3~4番目とは、意味が全然違う。任天堂が不況の影響を受けていないのは、(ウィッシュリストの)1番にDSやWiiをあげてくださっている方が多かったからでは」
と分析した。さらに、
「競合製品と同様のものであれば、値下げをすることで需要を喚起する。だが、ビデオゲームはそういうものではないと信じている」
として、当面は値下げに踏み切る考えはないことを明らかにした。
一方、国内のWii売り上げが伸び悩んでいることについては、
「日本でWiiの元気がないのは事実。発売以来、一番不健全な状態。Wiiは、少数のパワフルなソフトが売れ、これがハードウェアを引っ張っていくというモデルだったが、08年からは、これが上手くいかなくなった」
と不調を認めた。その上で、国内で09年6月に発売予定のソフト「Wii Sports Resort」で挽回を図る構えだ。