深刻な不景気で、公務員人気が高まっている。自治体の採用試験説明会が過去最高の参加者数になったり、専門予備校の受講生が倍増したり。新卒者は、採用減や内定取り消しの余波から、社会人は、会社倒産やリストラの恐怖から、公務員志望に流れているらしい。
キャリア官僚の人気回復の兆し
「大阪では、一番多いのではないですか。ほかでも、聞いたことがありませんね」
人事課長がこう話す大阪府吹田市の職員採用試験。同市の緊急経済雇用対策として、2009年2月22日に翌年の採用枠を前倒しして行い、定員5人になんと2782人が応募した。志願倍率は、556倍にもなる超難関だ。受験倍率も、472倍。25歳以下の年齢制限を59歳以下にしたこともあるが、人事課長は、この不況による影響があるとみている。
「受験者には、就職難や失業から受けた人もいたでしょう。結果として、新卒者や在職者の方、仕事を辞めて職を探していた方で、この4月から22~50歳までの男女5人を採用しました」
不景気になると、公務員の人気が高まると言われる。その傾向は、今回の大不況でも顕著のようだ。
08年秋の急速な景気悪化後、山梨県が12月24日に行った採用試験説明会では、過去最多の132人が参加。09年に入っても、川崎市が3月中にした3回の説明会では、参加者が前年より200人多い867人にもなった。京都市の3月18日の説明会も、過去最多の約650人だった。
国家公務員も、人気上昇傾向をみせる。
キャリア採用の1種では、4月1日から8日まで試験申し込みを受け付けたところ、人事院の試験課によると、3日現在で前年3日目より3.5%増えているという。担当者は、「まだ始めたばかりで分からない面もありますが、不景気もあって増えるのではないかと考えています。1種以外はまだですが、同じ傾向だと思います」と言う。