「米国政府はGMを運営することになんの興味もない(The United States government has no interest in running GM)」
米国のオバマ大統領は2009年3月30日、米自動車産業支援策を発表する中でこう明言し、GM,クライスラーに無制限に援助を続ける意思のないことを強調した。オバマ大統領はGMには60日以内に計画の全面見直しを、クライスラーにはイタリア・フィアットとの提携合意を求め、その間必要な運転資金を提供することを認めた。しかしオバマ大統領がGMを突き放した発言をしたことで、GMが破産法適用準備に進む公算が大きくなったと自動車業界では受け止めている。
GMの破産で影響を受けるのはもちろん米中西部を中心とする自動車関連業界と従業員だが、日本にとっても影響は大きい。例えばトヨタ自動車の首脳は「自動車産業全体にとって影響は大きい」と指摘、急速に落ち込んでいる米自動車市場の販売が低迷を続けることを懸念する。オバマ大統領は「大統領のチームは環境にやさしいクルマ作りなどGMのビジネスプラン策定に協力するだろう」とも発言、ハイブリッドカーで先行するトヨタ、ホンダが協力を求められる場面も予想されるが、GMを抜いて世界のトップメーカーとなったトヨタにしてみれば、GM破産のあおりがトヨタに及ぶことも心配だ。
「われわれは成功する米国の自動車産業を持てると思う。しかしそれには現在の風雨に耐えられるよう現実的な設計を持つことが必要だ(We think we can have a successful U.S. auto industry.But it's got to be one that's realistically designed to weather this storm)――。オバマ大統領はテレビインタビューでこう語っている。しかし大統領は演説の中で、「我々は、外国の競争相手が我々より速いスピードでやってくるというのに、何年も何十年も問題が紙に書かれたままであったことを見てきたし、厳しい選択が後回しにされてきたことを見てきた」と指摘、GM経営陣のリーダーシップ不足が今日の困難の原因であるとの認識を示した。自動車会社は政府からさらに援助を得るにはもっと多くのことをする必要がある。
GMの破産で競争相手に非難が向けられる公算は少ないが、GMが米国の代表的企業であったことは確かだ。日本企業としては米国の消費不振でGMに劣らず大きな販売減に見舞われているが、自動車販売が環境技術協力や雇用確保など、米国経済に役立つ存在であることをアピールすることが必要だ。