不況の直撃を受けて、地価も下落している。そうした中で、国土交通省が2009年3月23日に発表した地価公示価格によると、16の上昇地点のうち、4地点を占めたのが北海道伊達市だ。全国的に見ても珍しい現象はなぜ起きたのか。
年間1500人以上が転入、世帯数が急増
北海道伊達市は人口およそ3万7000人。北海道の南西部で札幌市と函館市の中間にあり、内裏湾に面した海沿いの場所に位置する。北海道でありながら雪が少なく、1、2月の平均気温はマイナス4度くらい。四季を通じて温暖な気候に恵まれ、「北の湘南」と呼ばれている。
ここは、もともと北海道内からの転入者が多い街としても知られていた。伊達市への移住を考える人に向けた、地域情報を提供するサイト「北のスロウライフ」を運営するアップデートの井餘田浩司さんによると、「温暖な気候が気に入り、北海道内で転勤が多かった人の中には、定年後には『伊達に住もう』と考えていた人が多かったんですよ。中には、若いときから土地を買っている人もいたくらいです」と話す。
伊達市の資料によると、年間1500人以上が転入している。このうち、北海道外からの転入者はここ10年、250人程度。転出者よりも転入者が多い状況が続いている。中でも、ここ3年は世帯数が急増。2005年の世帯数は6.5%、2006年は7.8%、2007年は2.1%とそれぞれ増加した。
前出の井餘田さんによると、「北のスロウライフ」がオープンした2006年、北海道外からのアクセスが多かったことには驚いたという。「北海道伊達市は全国的には無名です。最初はなぜ、と思いましたよ。北海道内で知られていたのが口コミで広まったり、伊達市がメディアに取り上げられたりしたことが、アクセス増につながったのでしょう」と話す。