損害保険ジャパンと日本興亜損害保険が2010年4月の経営統合で基本合意した。三井住友海上グループホールディングス(HD)など3社が統合を決め、損保ジャパンと日本興亜が取り残される恐れもあっただけに、駆け込み的に再編を決めた格好。ただ、両社の筆頭株主である米ファンドが損保ジャパンの株式を買い増したことも明らかになり、今後の統合協議は波乱含みの展開になりそうだ。
統合で浮いた余力を海外のM&Aなどに注ぐ
損保業界は現在、大手6社体制だが、三井住友海上グループホールディングス(2位)、あいおい損害保険(4位)、ニッセイ同和損害保険(6位)の3社が2009年1月、2010年4月の経営統合を発表した。統合3社は保険料収入で東京海上ホールディングスを抜き、業界首位に立つ。3位の損保ジャパンと5位の日本興亜は、統合3社と東京海上から大きく引き離されるだけに、その出方が注目されていた。
両社の計画によると、10年4月に共同持ち株会社を設立し、損保ジャパンと日本興亜が傘下に入る。統合で浮いた余力を海外のM&A(企業の合併・買収)などに注ぐ。相次ぐ統合の背景には、新車販売の低迷などで国内市場が縮小していることがあり、両社は東京海上や三井住友海上に比べ出遅れている海外展開で追い上げを図りたい考えだ。
ただ、今回の統合には「両社の筆頭株主である米ファンド、サウスイースタン・アセット・マネジメントの圧力があったためではないか」との観測もくすぶっている。
サウス社は日本興亜の株式約19%を保有。2008年6月の株主総会では、日本興亜の業績悪化を理由に兵頭誠社長の再任に反対し、合併などを要求した。サウス社は2005年、ニッポン放送の株式をライブドアに売却し、ニッポン放送買収騒動の引き金となったことで知られる「モノ言う株主」だ。