「サイモン・ウィーゼンタール・センター」のウェブサイトには、田原氏を批判する声明が掲載されている
「反ユダヤ」的な報道に対して抗議活動を繰り広げることで有名な米人権団体が、今度は、テレビ朝日の討論番組「サンデープロジェクト」にかみついた。人権団体は、司会の田原総一朗氏が、「田中角栄元首相はユダヤにやられた」などと発言したと主張。「言語道断で受け入れられない」として謝罪を要求している。一方、テレビ朝日側は「『ユダヤ』とは言っていない」としており、言い分が食い違っている。
「ナチ『ガス室は』なかった」記事に対して猛抗議
同センターが問題にしているのは、2009年3月8日放送のテレビ朝日系「サンデープロジェクト」での、司会の田原総一朗氏の発言だ。 この日のゲストは田中真紀子氏で、西松建設への献金をめぐって民主党の小沢一郎代表の秘書が逮捕されたことについて「国策捜査」と批判する声があがっていることについてのやりとりが繰り広げられた。
話題は、田中真紀子氏の父親、田中角栄元首相がロッキード事件で逮捕・起訴されたことに及び、真紀子氏は
「(今回の秘書逮捕劇は、昭和)51年度の(ロッキード)事件と同じようなものを感じる」
と述べた上で、ロッキード事件については
「発端が不自然だった」
「どこかで操られている。大きな国家権力がある」
などと振り返った。
これらのやりとりについて、米ロサンゼルスに本拠地を置くユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は、09年3月9日、「ウィーゼンタール・センターは、日本のテレビキャスターが、日本の政治スキャンダルを米国とユダヤ人のせいにしていることを糾弾する」とする声明を発表したのだ。
同センターは、国内では、95年に文芸春秋の月刊誌「マルコポーロ」が掲載した「ナチ『ガス室は』なかった」と題する「ホロコーストは作り話」などとする記事に対して猛抗議したことで知られる。文芸春秋側は雑誌の回収と廃刊、花田紀凱編集長の解任を決め、当時の社長は辞任に追い込まれた。