民間の信用調査会社が、「危ない会社」の実名リストを競うように公表している。倒産多発を懸念して取引先がピリピリしているためで、300社をリストアップしたケースもある。信用不安を煽るとの指摘もあるが、調査会社では「連鎖倒産しないように情報提供するため」などと説明している。
300社をリストアップしたケースも
「ほぼ経営破綻状態」
「株主に反社(反社会的勢力)の影あり」
民間信用調査会社の東京経済が公表した「危ない企業300社リスト」に書かれた情報だ。それぞれ、東証1部に上場している総合建設会社と自動車部品メーカーについて記述したものになっている。
このリストは、銀行や商社の与信管理担当者らが詰めかけた2009年2月4日のセミナーで配られた。4社に1社が上場企業で、具体的な社名や、年商、主力銀行などが記され、A(支払い悪化)、B(社内人事抗争)などと経営リスクが記されている。
東京経済のほかにも、実名リストを公表する調査会社が出ている。
東京商工リサーチは08年12月22日、1年以内に経営破綻するリスクがある上場企業107社を明らかにした。この中には、カー用品チェーンなどお馴染みの企業名も含まれている。
両調査とも、業種別では、不動産会社と建設会社が多い。未曾有の不況だけに、調査会社が、競うようにして具体的な企業の経営情報を明かしているのだ。
リスト公表について、東京商工リサーチの情報部では、「9月中間期の決算書や監査法人による注記に書かれた企業を集計しました」と明かす。一方、東京経済の情報部では、300社ものリストは、決算書や注記のほかに、大口の焦げ付き先判明、倒産懸念のある問題発生といった点を勘案して作成したという。