アメリカの自動車メーカーが大不況に見舞われ軒並み販売台数が前年比で40~50%ダウンする中、2009年1月の韓国の現代自動車の販売台数がなんと14.3%も増えた。理由は、失業した場合などに自動車の購入の代金を払い戻す「現代補償制度」なのだそうだ。前代未聞ともいうべきこの制度の正体は。
ブルームバーグなど海外メディアが2009年2月4日付けの電子版で報道した記事によれば、1月のアメリカの自動車販売台数は前年比でゼネラルモーターズ(GM)が49%減、フォードは40%減。日本のトヨタやホンダ、日産も軒並み30%前後減った。しかし、現代自動車だけは前年同期比14.3%増加したというのだ。
これについてブルームバーグは、
「現代は先月、失業した客から乗用車を買い戻す制度をスタートしたこと。それに、過去1年間でドルに対し31%値下がりしたウォン相場も、韓国メーカーの追い風となっている」
などと好調の要因を分析した。
新車が売れない理由は失業への不安だった
いったい「現代補償制度」とはどんなシステムなのか。ローンを利用して自動車を購入する消費者に対し、1年以内に失業しローンが払えなくなったり、死亡、けが、海外転勤などした場合に、7500ドル(約68万円)を上限に、販売業者が買い戻すというものだ。この制度は09年1月2日からスタートしたが、ブルームバーグ(09年1月19日付け)によると、制度開始から1週間でお客が押し寄せ始めたという。
ブルームバーグは
「消費者が自動車購入を躊躇する理由は、収入減および失業率悪化への懸念にあることを示唆している」
と分析。現代のデイヴ・ズコウスキー販売担当副社長は、
「早期の回復は確実だ。当社は消費者の共感を得た」
と胸を張るなど、新制度の成功を確信している、などと伝えていた。