「どうか、私のお金を世の中のために使って下さい」。歌手の一青窈(ひとと・よう)さんが、自分の財布から金銭を盗んだ犯人に向かって呼びかけている。自身の公式サイトを通じて「どうか、あなたよりもっと必要な人にそのお金を使ってください。心からお願いします」とメッセージを投げかけている。
「あなたの飲み代や衣服に消えてゆくのでは我慢がなりません」
一青さんの公式サイトの「DIARY」というコーナーに2009年1月15日、「心当たりのある方へ」というメッセージが掲載された。そこには、黒っぽい財布の写真とともに、「昨日、私の財布から●万円を抜き取った人へ」という書き出しで始まる一文が記されている。
それによると、一青さんは1月14日の夜、タクシーに財布を置き忘れた。2時間後に運転手が届けてくれたが、「財布は空っぽでした」。具体的な金額は書かれていないが、被害額は「●万円」だという。「麻布十番か広尾辺り」で自分の後に乗車した客が、現金だけを抜き取って財布をタクシーに残していったのだろうと、一青さんは推理している。
「あなたが抜き取ったそのお金は 私は容易に働いて稼いだものではありません」
「本当に心をこめて、汗水鼻水涙たらして たくさんのスタッフ、人間が関わって 命のこもった音をつくり それがやがてお金に変わり 私なりに一生懸命頑張って稼いだお金です」
と貴重な金銭が盗まれたことへの悔しさを記したあとで、一青さんは「お金を抜き取った心当たりのある人」に向かってこう呼びかけた。
「どうか、私のお金を世の中のために使って下さい。あなたの飲み代や衣服に消えてゆくのでは 我慢がなりません。(中略)どうか、あなたよりもっと必要な人に そのお金を使ってください。飢えで苦しむ子供たちでもいい 病に苦しむ人に コンビニでもいい、募金箱でも、一歩立ち止まって そのお金の使い方を考えてください。心からお願いします」