液晶テレビ世界的「投げ売り状態」 日本メーカーの収益を直撃

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   景気の後退を受けて、大型液晶パネルの出荷が大幅に落ち込んでいる。パネル1台あたりの価格が下がる「投げ売り状態」も発生している模様だ。米調査会社は「09年は、テレビ産業とその流通網にとって、これまでで最も困難な年になる」と予測。これを受けて、これまで利益を伸ばしてきた日本の家電各社も、戦略の見直しを迫られている。

液晶パネル11月出荷金額は50%減!!

シャープは08年12月、液晶パネル工場の再編計画を発表したばかりだ(08年10月撮影)
シャープは08年12月、液晶パネル工場の再編計画を発表したばかりだ(08年10月撮影)

   08年に始まった景気後退の影響が「世界的な家電製品の市場縮小」という形で、統計データにも表れてきた。

   調査会社のディスプレイサーチ(米テキサス州)が08年12月17日に発表したところによると、これまでは右肩上がりが続いてきた液晶テレビ市場が「曲がり角」を迎えていることが明らかになった。同社のレポートによると、09年には、全世界で液晶テレビが1億1990万台出荷されるとみられており、08年と比べると17%増加する見通しだ。ただし、経済危機の影響が大きい日本、北米、西欧などの先進国では、増加の幅は2%にとどまるものと予測している。ところが、売り上げベースで見ていくと様相は一変する。液晶テレビの09年の売り上げ予測は640億ドル(約5兆7000億円)で、16%も減少が見込まれているのだ。「値崩れ」が発生していることが浮き彫りになった形だ。

   同社では、この見通しについて

「液晶テレビが00年に市場に出て以来、全世界での出荷額が前年と比べて下落するのは初めて。原因は、テレビの価格の下落が見込まれることと、出荷台数の伸び率が下方修正されたことにある。09年はテレビ産業とその流通網にとって、これまでになく困難な年になると予想される」

と分析している。

   四半期ベースで見ると、事態はもっと深刻なことが分かる。前出のディスプレイサーチ社は、08年12月19日に、液晶テレビの主要部品として利用されている「大型TFT液晶パネル」の、08年11月の集計データを発表。出荷台数は2850万台で、前年同月比25%減。一方の出荷金額は38億ドル(3400億円)で同50%減だ。

   製品の統計と部品の統計を単純比較することはできないが、液晶テレビ業界全体で「出荷台数の落ち込み」と「1台あたりの値崩れ」が、ここ数ヶ月で急速に起こっていることを垣間見ることができる内容だ。

姉妹サイト