大阪府の橋下知事から送られたメールを、幹部職員らが次々に削除したと報じられていることが論議になっている。その理由は不明だが、保存義務はなく、サーバーにも残していないという。しかし、府はメールを公文書と判断しており、今後その保存のあり方が問われそうだ。
「電話と一緒で、用が済めば消される」
橋下徹知事は、就任以来、幹部職員への指示や報告に電子メールを多用している。メール活用は、知事としては珍しいという。そして、その一挙手一投足が注目されているだけに、府民から知事メールに対しても情報公開請求が数件寄せられた。
この請求を受け、府情報公開室が、一斉送信していることなどから知事メールを「公文書」と判断。2008年12月19日に、事務方だけの庁内会議で報告した。ところが、読売新聞の12月26日付記事によると、会議後に幹部職員が次々に自らの公用パソコンから知事メールの削除を始めたというのだ。出席者の一人は、「なるべく早めに削除しなければならないと受け止めた」と説明しているという。
記事では削除理由には触れられておらず、知事の意向なのか、職員の判断なのかは分からない。府総務課でも、「削除のことは分かりません」と答える。
とはいえ、「公文書」をそんな簡単に削除してもいいのか。
府情報公開室によると、行政文書管理規則で、メールの保存は定めていない。削除も「問題ない」という。「電話と一緒で、用が済めば消されることは通常ありうることです。一時的な文書の扱いで、むしろ保管の必要がないものは処分しなければならないことになっています。メールが残っていれば、公文書公開の対象になりますし、残っていなければ文書が存在しないということです」
新聞各紙によると、橋下知事も12月26日、原則としてメールは公開と説明しながら、削除はありうるとの考えを示した。その理由について、「メールは、メモ書きと一緒」などと説明している。