原油価格の下落が止まらない。原油先物相場は2008 年7月に記録した最高値の4分の1にまで下がり、国内のガソリン価格も1リットルあたり100円を割りそうな勢いだ。中にはNY先物が1バレル30ドルを割るという専門家もいて、2009年は80円台の可能性も出てきた。
OPECの減産表明も効果なく
2008年12月25日のNYMEXの原油先物相場は大幅続落となり、前日比3.63ドル安の1バレル35.35ドルで取引を終えた。米国の石油在庫統計でガソリン在庫が予想を上回る増加となったため、売られた。
いったい、どこまで下がるのだろう。石油輸出国機構(OPEC)は下落阻止に向けて、これまでも度重なる減産を表明してきたが、まったく効果がなく、原油価格は下がるばかり。「いまの価格水準が底値」と強調するが、一向に下げ止まらない状況で、OPECが無力化したことのほうが鮮明になってしまった。
世界的な金融危機で、08年夏まで価格を押し上げてきた投機マネーが再び流れ込むことも、もちろん期待できない。
そうした中で、日本エネルギー経済研究所は12月25日、「2009年の国際石油情勢と原油価格展望」を発表した。09年のNY原油先物市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)平均価格が1バレル45~50ドル前後になると予測。これは08年の平均価格のほぼ半値にあたる。09年の世界需要は、08年の日量8584バレルから10万バレル程度減少するという。
「そんなものではない。もっと下がる」という声もある。石油元売り業界に詳しい岡三証券アナリストの宮本好久氏は、「1バレル25ドル前後に収束する」と予測する。これは近年の原油高騰がはじまる以前の2003年頃の水準にあたる。
世界的に原油の需要が減る一方で、ロシアなどのOPECに加盟しない産油国の生産が増えること、また中国やインドなどの新興国の需要も伸び悩むとみている。下落の理由はどちらも同じだが、宮本氏のほうがより深刻な見方をしているわけだ。