ホンダ販売不振の「お先真っ暗」 F1緊急撤退の背景

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   「完全に撤退であります。将来のことは白紙であります」――ホンダの福井威夫社長は2008年12月5日に記者会見し、フォーミュラワン世界選手権(F1)から、完全に撤退すると発表した。2009年シーズンからレースへの参加を取りやめるほか、ドライバーとの契約も解消、エンジンの供給も取りやめる。世界的な金融危機の波及で、巨額の経費がかかるF1事業のリストラに踏み切った。

「世界中のマーケットが10~11月から加速度的に減速」

「F1からの完全撤退」を発表するホンダ・福井威夫社長
「F1からの完全撤退」を発表するホンダ・福井威夫社長
「今後のエンジン供給も考えていない。中途半端な参加はしたくない」

会見のなかで福井社長は、エンジン供給を行わないほか、来期の契約を結んでいたジェンソン・バトンといったドライバーとの契約も解消、チームを売却することで協議に入ったことを明らかにした。背景には、サブプライム問題に端を発した金融危機と、それに伴う販売の急激な落ち込みだ。同社では、F1のエンジニア約400人を、今後の商品開発に振り分けるとしている。

「自動車の販売だけではなく、二輪も含めて、北米のみならず世界中のマーケットが10~11月に入ってから加速度的に減速している。これは我々の想像を超える、全く先が見えないような状況。10月以前ではこういう決断はなかった。F1チームは来年に向けて準備は相当いい状態に仕上がっていた。手ごたえもつかめていたし、彼らは一生懸命やっていた。それに対し、我々がビジネス上の理由で撤退の決断をしたわけで、ファンのみならずF1レース界の皆さまにも申し訳なく思っている」(福井社長)

同社は、オートバイの「MotoGP」、インディーカー・シリーズについては継続して参加する意向だが、その他のモータースポーツについては「これから詰める」としている。ホンダは400億円以上とも言われる年間予算をF1に投じており、「かなり大きなインパクト(負担)があった」という。成績の面でも、06年にF1に単独参戦してからは優勝1度にとどまり、08年も成績は振るわなかった。同社は「今年の結果にかかわらず、撤退した」としており、F1でのパフォーマンス以前に、経営状況の先行きが危機的であるとの見方からのリストラ策ということになりそうだ。

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