元厚生事務次官宅を襲った連続殺傷事件の余波で、宅配便業者がとばっちりを受けている。荷物を届ける際に、「本物の配達員なのか?」と疑われて、なかなかドアを開けてくれなかったり、確認に時間がかかったりして、業務に影響が出始めたからだ。これからお歳暮シーズンを迎えて配達量が増える中、宅配各社は対策を模索している。
新聞受けから、先に伝票だけ渡してくれ、という人も
元厚生事務次官宅を襲った犯人は宅配便業者を装っていた。東京・中野の吉原健二さん宅で、犯人に刺され重傷を負った妻の靖子さんの意識が回復し、犯人は作業服を着て箱を持ち、宅配便だと名乗っていた、とわかった。事件後、宅配便への不信感が増し、主婦や若い女性に限らず、1人暮らしの男性からも、「怖いので、すぐには開けない」「名乗ってもらっても、本当かわからない。ドアを開けるのを躊躇してしまう」といった声があがっている。
都内大手宅配業者の男性配達員は、こう語る。
「インターホンで名乗っても、本物なのか? と信用してもらえず、チェーン越しに荷物を確認してから、やっとドアを開ける人もいます。業務に支障が出るほどではないですが、これからのお歳暮シーズンにこれだと、ちょっと大変ですね」
また、別の配達業者は、
「カメラ付きのインターホンの場合、社員証はもちろん、送り状も見せるようにいわれました。新聞受けから、先に伝票だけ渡してくれ、という方もいます」
といい、ドアが開くまでの時間が以前に比べて長くなっているようだ。