リーマンショックで、外資系企業の社員が多い高級賃貸マンションのピンチがささやかれている。とくに話題なのは、リーマン・ブラザーズ日本法人も入居中の六本木ヒルズだ。住宅棟の名物だった「ヒルズ族」は、もう風前の灯なのか。
「高級賃貸は影響を受けており、今後も大きく影響」
リーマン社員の動向が話題の六本木ヒルズ
「大手不動産会社の人から、『高級マンションは苦しい』と聞きました。月100万円ぐらいの部屋には、リーマン社員がたくさん住んでいますからね」
これは、ある外資系金融機関の幹部が明かした話だ。
外資系企業には、高級マンションを借り上げ社宅にしているところが多い。税金対策にもなるからだ。東京・麻布などの高級住宅地には、外資系の社員がかなり住んでいるという。
「リーマン社員1300人の3分の1は、年収が高い人たちです。月100万の部屋なんて数が限られていますから、破たんして大変なことになりますね」
高級賃貸マンションに空き部屋が目立つようになったのは、2008年に入ってから。サブプライム問題が深刻になってきたからだ。外資系金融機関でリストラが進み、月100万もするような部屋が重荷になってきたのだ。
そこに、米証券大手リーマン・ブラザーズの破たんという大波が来た。不動産経済研究所の企画調査部でも、「高級賃貸は影響を受けており、今後も大きく影響すると思います」と話す。高級賃貸マンションには、医者や弁護士なども住んでいるが、外資系の社員は少なくとも2、3割はいるという。
企画調査部では、「ちょっと前までは、郊外マンションは厳しく、高級マンションは大丈夫と言われていました。しかし、外資系の経営が苦しい状況なので、エリアを問わず今後は厳しくなるでしょう。家賃を下げるマンションも出てくると思います」と分析している。