東京都庁が1300億円を投じて新宿の本庁舎ビルを大改修するという記事を、時事通信が2008年8月26日に配信した。「日刊ゲンダイ」も08年9月2日付けで同様の記事を書いた。都庁舎の建設費は17年前で約1600億円。1300億円という数字は建替えに匹敵するとんでもない額だ。都庁はこの記事に「全くの誤報だ」と立腹している。いったいどちらが正しいのか。
「いっそのこと都庁を建替えたらどうか」
17年前に約1600億円の巨費を投じ建てられた東京都庁
時事通信によると、都庁本庁舎ビルを今後10年程度かけて大規模改修する計画で、改修費は総額1300億円規模に上る見込み、と書いている。「設備の老朽化」などが理由で、
「庁舎完成前後には、その巨大さや豪華さを批判された経緯があり、再び巨費を投じる大規模改修に都民から反発の声も上がりそうだ」
と結んでいる。
時事通信の独自記事で、事実なら「スクープ」。「日刊ゲンダイ」は08年9月2日付けで後追いした。記事によれば、改修費に1300億円もかかるのが本当なら、
「いっそ簡素で維持費がかからないビルに建替えたらどうか」
と提言している。都庁舎は「バブルの塔」と呼ばれ、バブル期に計画され「好き勝手」に作った結果、複雑な造りになってしまった。そのため改修費が嵩み、維持費も年間50億円も必要。蛍光灯一本換えるのに一週間、窓ガラスを拭くのも大変で「建替えしたほうがいい」というわけだ。
これらの記事は本当なのかJ-CASTニュースが東京都財務局に聞くと、
「とんでもない誤報です。時事通信の取材はありましたが、そういう事実はありませんよと伝えたところ、記者は『誤報でも書きたい』と言いました。まさか本当に記事になるとは。ビックリして、(時事通信に)猛烈に抗議をしました」
と話し、かなり立腹している様子だった。