「PC(パソコン)にソフトをインストールする」といえば、CD-ROMを使うのが、これまでの「常識」だった。ところが、低価格PCの売れ行きが伸び、その風向きが変わりそうなのだ。そうした中で、大手ソフトウェア会社ソースネクストが、ソフトをUSBメモリに入れて発売することになった。記憶媒体の変遷が、また一段と明確になった形だ。
ソースネクストが年内計30タイトルを発売
発表会には同社の年賀状ソフト「筆王」のイメージキャラクター西秋愛菜さんも登場した
ソースネクスト(東京都港区)は2008年8月27日、USBメモリにソフトウェアを収容して販売する「『Uメモ』戦略」を展開する、と発表した。具体的には、「ウイルスセキュリティZERO」などの定番ソフト7タイトルを08年9月5日に発売し、08年末までに合計30タイトルを発売する。ソフトが収納されている容量1GBのUSBメモリは、インストール後は通常のUSBメモリとして利用でき、販売価格はCD-ROM版と同価格を維持した(「ウイルスセキュリティZERO」であれば標準価格4980円)。
この背景にあるのが、販売価格が10万円を切る「低価格PC」の伸び。民間調査会社のBCN(東京都文京区)の調べによると、低価格PCの2008年7月時点での販売台数のシェアは、ノートPC全体の4割に達している。この低価格PCの売れ行きがPC市場全体を下支えしている模様で、PC全体の売れ行きを見ても、08年4~6月期の国内PC出荷台数(速報値)は前年同期比8%増の354万台に達している(IDCジャパン調べ)。
しかし、この低価格PCの価格は、「使用頻度の低い機能を削ぎ落とす」ことで実現されている面が強いのも事実。通常であればソフトなどのインストールに必要なCD-ROMドライブが搭載されていないケースも多い。
実際、台湾のITコンサルティング大手の「マーケット・インテリジェンス・センター」(MIC)が、ノートPCに対する、CD-ROMドライブを搭載しないPCの割合を予測したところ、08年の段階で約8%なのに対して、2013年には25%近くに達するものとみられている。
そうなると、PCの利用者がソフトをインストールする際には、外付けCD-ROMドライブを使うか、インターネットからダウンロードしてくる、といった手間を強いられてしまう。