2008年10月で民営化1周年を迎える日本郵政グループが新規事業を相次ぎ打ち出している。同グループの郵便事業会社が中国向けのインターネットショッピングモール(仮想商店街)を開設。郵便局会社は提携先のローソンと連携し、首都圏の拠点郵便局6局に小型のコンビニエンスストア「JPローソン」を展開する。いずれの新規事業も効果は未知数だが、民営化1年で、そろそろ具体的な成果が問われている。
「国際スピード郵便」を使って輸送
郵便事業会社が新たに開設したインターネットショッピングモール「JapaNavi」
郵便事業会社は2007年7月、当時の日本郵政公社時代に中国郵政集団公司と締結した国際協力の包括合意に基づき、中国向けのインターネットショッピングモール「JapaNavi」を8月18日から開設する。これは日本で言えば、楽天の「楽天市場」のような仮想商店街を中国向けに開設することを意味する。日本郵政グループがネット上に仮想商店街を開設したことはなく、今回の中国向けが初めてになる。
出店するのは、いずれも日本企業で、第1陣は赤ちゃん本舗、サンリオ、大丸、タカミヤ、田崎真珠、美津濃、三越の7社とバラエティーに富む。郵便事業会社は楽天と同じく、通信販売の仲介サービスを行う立場で、出店者である日本企業と、中国の購入者をネット上で結ぶ。出店者はモール内にショップを開設して商品を販売。商品の代金は国際クレジットカードで決済し、商品は郵便事業会社が「国際スピード郵便」(EMS)を使って輸送する。郵便事業会社は出店者から手数料を受け取るとともに、国際スピード郵便の利用拡大で収益を上げる仕組みだ。今後は「第1陣に続く出店企業を順次、増やしていく」(郵便事業会社)という。
サイトは日本語と中国語で表示し、中国駐在の日本人向けにもサービスを展開するが、「日本国内の在住者はサイトにアクセスしても商品を購入できない」という。これは日本国内では商品の輸送に国際スピード郵便を利用できないからだという。