お笑い芸人の青木さやかさんは、今年一番感動したことについて、2008年08月17日のブログに書いている。
「お笑いの先輩であり、仲間であり、なんだろう、性格は決していいとは言えないのに、多分、いや、絶対、嫌いになれない」
その人とは、同じく芸人の長井秀和さんだ。青木さんが上京し、テレビに出られず、ライブもネタみせで落とされ、バイトも首になっていた頃に、一緒に時間をすごした。ロイヤルホストのいつもの席で愚痴り合い、夢を語って朝までドリンク一杯で粘った。そんな日々が続いていた。
長井さんが当時から、
「ニューヨークに行ってスタンダップコメディ(ステージで立って演じる毒舌芸)をやりたいと言った」
と、青木さんは振り返る。
そして一年前、長井さんは単身ニューヨークに渡った。青木さんは、英語が得意でもないのに、ツテもないのに、有言実行する姿に、「カッコイイなあ」と思った。でも、「大丈夫かなあ」と心配になり、やっぱり「少しさみしく思った」。そんな長井さんから、最近ライブに出られるようになったとメールがきた。パソコンでライブが見られるというので、
「暗い部屋でドキドキしながら見た」
「暗い部屋でパソコンの中の長井さんを見ていたら、泣けてきた」
すると、年配の渋いおじさん司会者が
「ヒデカズ ナガイ!!」
と呼ぶ。客はワッと盛り上がり長井さんが登場した。長井さんが英語をしゃべると、「割れんばかりの笑いが起きる」。何を言っているのか、青木さんにはわからないというが、盛り上がっている様子がよくわかった。
「この人は、この一年、とにかく必死に、頑張ってきたんだろう
暗い部屋でパソコンの中の長井さんを見ていたら、泣けてきた」
「今年1番感動した出来事」となった。そして8月半ば、一時帰国した長井さんとロイホで再会した。変わっていなかったが、一つだけ変わっていたことがあった。「ロイホがドリンクバーになったことくらいでしょうか」