大分県の教員汚職事件で、口利きの有無を巡って、地元紙と大分市教委の言い分が食い違っている。地元紙では認めたものの、市教委幹部は否定しているのだ。地方紙の権力は強いと言われるだけに、この幹部は配慮しようとしたのではないか、という憶測も出ている。
新聞事業部長「初対面で口利きを示唆」
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お詫びを出した大分合同新聞ホームページ
大分合同新聞社の事業部長(52)(現在は降格)が大分市教委の学校教育部長に小学校教員採用試験の口利きを依頼したと明かした問題で、驚くべきことがある。それは、事業部長が、初対面にも関わらず、学校教育部長から口利きを示唆されたと告白している点だ。
2人は、2006年10月に大分市内であった実業団陸上選手権大会の歓迎レセプションパーティーで出会った。たまたま隣り合わせた事業部長が、自分の長女が教員を目指していると話すと、学校教育部長がなんと、いきなり「一次(試験)が合格したら、言ってください」と耳打ちしてきたというのだ。
07年の教員試験で長女が1次試験に合格し、この言葉を思い出した事業部長が9月に市教委を訪れ、学校教育部長に「助けられるものならお願いします」と申し出た。すると、翌月の合格発表前日に学校教育部長から長女の合格を告げる電話があったのだという。
大分合同新聞によると、県警の押収資料に口利きを示すものがあり、長女の得点に約60点加点が記されていた。これが事実なら、学校教育部長は、特に親しくもない事業部長のために、口利きをしたことになる。
ところが、市教委の教育総務課長によると、学校教育部長は、依頼を受けたことも口利きも全面否定。「新聞社とは、若干食い違いがあります。長女の方が臨時講師として優秀だと校長から聞いたため、試験を担当している県教委幹部から事前に合格情報を聞いただけということです。パーティーで事業部長とはお会いしたかもしれませんが、その長女ということは知らなかったと言っています」