プロサッカー選手がイエローカードを「戦略」として受けることは是か非か。こんな議論がネット上で起きている。サッカー北京五輪代表で大分トリニータのGK西川周作選手が「イエローカードをわざともらいました!!p(^^)」とブログに書いて批判が殺到。問題箇所を削除するとともにブログで謝罪した、というのがきっかけだ。
アップ後20分で削除され、翌日のブログで謝罪
西川選手はブログでの記述について謝罪している
問題のブログは2008年7月20日付けで書かれた。同日行われたジュビロ磐田戦で、大分トリニータは2-1で逆転勝利を収めた。この試合で西川選手は試合終了間際の後半44分、通算4枚目のイエローカードを受けた。ボールをグラウンドに叩きつけた行為を審判から「異議」と判断されたためだ。西川選手は試合終了後、ブログにこう書いた。
「今日のイエローカードはみんなビックリしたと思いますがわざともらいました!!p(^^)というのも通算で3枚たまってたので今回一枚もらっておこうと考えてました!!」
つまり、08年7月26日に行われるガンバ大阪戦はイエローカードの累積で出場停止になるが、西川選手は同22日から五輪合宿に参加するため、実質的には響かない。ジュビロ戦でわざと4枚目のイエローカードを受ければ、五輪から帰った後のJリーグの試合では「累積なし」状態になる。そうするための「戦略」だったというわけだ。
しかし、このブログがアップされた直後から批判が殺到。問題の箇所はアップ後20分で削除され、翌日のブログで西川選手は謝罪。トリニータの公式ホームページでも謝罪文が掲載された。西川選手はトリニータから厳重注意をされ、ブログは無期限禁止という処分を受けた。
ネット上の掲示板やブログを見ると「スポーツマンとして失格」「ブログに書くなんて軽率」といった批判が出ていて、
「北京五輪を辞退し、Jリーグの試合も謹慎すべき」
といった厳しいものもある。一方で、
「イエローカードや累積警告などはルールの範囲内。それをうまく利用しただけ」
「プロとしてはやっても良い事だと思っている」
「五輪あるんだから当たり前のことしたまで。むしろ、こんな作戦を読めるユーザーはラッキーじゃないの?」
という意見が結構出ているのだ。
「事実とは違うことをブログに書いたようです」
今回と似たようなことが04年10月9日、イングランド対ウェールズのW杯予選で起こっている。当時のイングランドに所属していたベッカム選手がイエローカードを受けたのは「意図的」だったと発言、騒動になったのだ。負傷で出場できない次戦で累積警告を消化するために、わざとイエローカードになる行為をしたのだという。ベッカム選手は後に自分の行為を謝罪するが、「イングランドのエリクソン監督(当時)は「『こういう場合にイエローカードを受ける行為は、サッカー界でずっと続いてきたことだ』と批判の声に反発した」(日刊スポーツ04年10月14日付け)という。ベッカム選手の父テッドさん、FWのオーウェン選手らもベッカム選手の行為を擁護していた。
もっとも、トリニータ広報はJ-CASTニュースに対し、西川選手は「わざと」イエローカードを受けるような行為はしておらず、
「事情聴取を(西川選手に)したところ、劇的な逆転勝利をしたことに浮かれ、また、サポーターに安心してもらうために、本心とは違うことをブログに書いたようです」
と話している。