経営破たんした日本長期信用銀行(現・新生銀行)の1998年3月期決算を粉飾したとして証券取引法と商法違反に問われていた元頭取・大野木克信被告、元副頭取・須田正巳被告、鈴木克治被告に対する上告審裁判で、最高裁判所第2小法廷は2008年7月18日、有罪とした1審と2審を破棄して、無罪を言い渡した。3被告の無罪が確定した。
大野木被告ら3人は98年3月期決算で、本当は不良債権が約5800億円あったのに、約3100億円を回収できるかのように装って、少なく計上した有価証券報告書を、当時の大蔵省に提出。また配当原資がないにもかかわらず、約71億円を違法配当した、とされた。
裁判では、旧長銀が不良債権処理の際に適用した自己査定の認定基準が、当時の大蔵省が改定した新たな自己査定基準ではなかったことから、「査定基準」が公正に運用され、適正な会計処理が行われたかが争点となった。
1、2審では3人が「新たな査定基準を意図的に無視して、不良債権を隠そうとした」として、大野木被告に懲役3年、執行猶予4年、須田、鈴木両被告に懲役2年、執行猶予3年を言い渡していた。弁護側は「当時は旧基準での処理も許されていた」と主張していた。