出世を嫌う公務員が増えている。横浜市では、係長昇任試験への応募が15年で半減、名古屋市では、10年でなんと3分の1になった。各自治体では、筆記試験を止めたり、受験できる入庁年次を引き下げたりしているが、決定打とはなっていないようだ。
係長試験受験者、横浜半減、名古屋3分の1
ヤフーの知恵袋でも、出世嫌いの質問が
「公務員という立場に甘えている職員が多いのかな。係長、課長が少なくなれば、行政運営も滑らかにいかなくなる」
横浜市人事委の任用課長は、こう嘆く。
係長昇任試験で、横浜市では、受験者数が1993年の2174人をピークに年々減少。2006年には、半減して935人と1000人の大台を切った。「昇任試験の受験は、仕事に貢献しようという意識の表れです。向上心の低下は、組織の活性化にとってよくありません」
そこで、横浜市では、受験者数を増やそうと、07年の試験で40歳以上の筆記試験を止めた。代わりに、勤務実績と面接だけで登用することにした。また、本人希望だけだった試験に、所属部署からの推薦制度を導入した。その結果、この年の受験者数は、1022人と減少に歯止めがかかった。ただ、任用課では、まだ不足だとしており、現在、次の手をどうするか検討している。
同様な傾向は、名古屋市でも明らかになった。同市人事委によると、行政事務における係長昇任試験の受験者数は、98年度が1357人だった。それが、07年度には522人とほぼ3分の1にまで落ち込んだ。同市では、減少に歯止めをかけようと、05年度の試験で、受けられる入庁年次を2年引き下げた。しかし、状況は大きく変わらなかったという。