バスジャックの14歳少年は、「テレビで見て刺激された」などと話しており、映画や過去の事件を参考にしたのでは、との見方が出ている。乗客から携帯電話を取り上げるなどの手口は、その影響なのか。
携帯電話没収などを冷静に指示
愛知県内の東名高速道路で高速バスを乗っ取った山口県宇部市内の少年(市立中学2年)は、14歳とは思えないほど、冷静に運転手や乗客をコントロールしていた。
新聞各紙によると、まず、2008年7月16日の事件当時、運転手の背後から迫り、いきなり首にナイフを当てて、身動きを封じた。ナイフも2つ用意していた。乗っ取ったJR東海バスには、緊急時に本社に通報し、車体側面に電光表示できる非常ボタンが運転席にあったという。が、運転手は、動きを制止されてか、ボタンを押していなかった。
さらに、乗っ取りに成功すると、次々に運転手や乗客に命令を出した。運転手に、2階建てバスの乗客を「1階に集めろ」と指示し、車内放送で携帯電話の電源を切らせた。さらに、乗客には「携帯電話を出せ」と言い、「カーテンを閉めろ」などとも命じた。愛知県警のパトカーに囲まれると、運転手に対し、「行け! パトカーに当たれ」とも叫んでいた。
少年は、犯行の上でのこうした知識をどこで得たのか。
各紙によると、少年は、取り調べに対し、「バスジャックをテレビで見て刺激された」「過去のバスジャック事件をまねた」と供述しているという。
少年による同様な事件としては、九州自動車道で2000年5月3日に起きた西鉄バスジャック事件がある。このときは、17歳の少年が包丁で1人を殺し、さらに2人を刺してけがをさせた。今回の事件を起こした少年は、このときはまだ6歳ほどだったが、テレビなどで西鉄事件を知った可能性はある。