橋下徹大阪府知事が、平日の昼間に府庁から公用車でフィットネスクラブに出かけていたことが明らかになり、一部からは批判の声が上がっている。内容は「府議会の委員会開催中なのに軽率」「公用車を使うのは公私混同」といったものだが、知事経験者からは「つまんないこと言うな。こんなことを問題にする方がおかしい」との声もあがる。
ワイドショーなどでは知事に批判的な報道が相次ぐ
「フィットネスクラブ通い」は、2008年7月16日に発覚。同日、知事は臨時に会見を開き、経緯を説明した。知事の説明によると、08年7月14日13時ごろ、公用車で府庁から自分の弁護士事務所に向かい、その後14時ごろにホテル内のフィットネスクラブに到着。夜に公務が控えていたため、タクシーで17時ごろ府庁に戻ったという。
報道機関に公表されているスケジュールでは、この時間帯は「庁内執務」とされており、議会の委員会では、08年度予算案の審議が始まったばかり。審議では、人件費削減などが焦点になるものとみられている。委員会に知事の出席予定はなかったが、条例では、必要があれば知事の出席を求めることができる。なお、公用車の使い道に明確な規定はない。
ワイドショーなどでは、
「サービス削減をめぐって委員会で議論しているのに外出するのは軽率」
「公用車を使うのは公私混同」
といった声が紹介され、知事に批判的な報道が相次いだ。
一方、知事は(1) 特別職は意思決定をすることが仕事で、時間に拘束される訳ではない (2)携帯電話で連絡は取れる状態、などとして
「まったく問題ないと思っています」
と反論。知事就任以来、体重が7キロ増加したことを
「もうお腹から何から、まったく体を動かせないので、ヒドイ状態です」
と嘆いた上で、
「現状の知事職で、自分で言うのもなんなんですけど、殺害予告やられたり白い粉送り付けられたり、山ほど脅迫やら何やらある中で、警護の関係で公用車は使わさせてもらいます」
と、今後も方針に変更がないことを明言。さらに、
「今回のことで批判を受けるぐらいの働きしかしてないと思われているのであれば、自分の働きぶりが悪い、と反省しないといけないですけれども…。あとは府民の皆さんがどう思われるか。また報道をしてもらって、(報道と府民の反応を見て)判断したいと思う」
と、判断は世論に委ねたい考えを明らかにした。
その「世論」は、ヤフーなどコメント欄を見る限り
「なぜ一言『配慮が足らなかった』と言えないのか」
「まったく問題ないのでは?」
と二分されているが、
「問題にすること自体が問題」
と、橋下知事を擁護するのは、浅野史郎・前宮城県知事だ。今回の件が問題化されたこと自体に憤慨している様子だ。
「つまんないこと言うなよ」
「つまんないこと言うなよ、という感じです。本当はコメントもしたくない。マスコミも暇だよね。まさに重箱の隅をつついている。府の歳出削減などの重要な話ではなく、何故この話で面白がるのかわからない。まったく生産的ではない」
一方で、「自分なら、こんなことはやらない」とも話す。
「知事に決まった勤務時間というのはありませんが、私なら、こういう(委員会が開催されている)時間には行かない。夜や朝に行くなど、他にもやりようはあった。自分は朝に強いので、朝にジョギングをしていました。今回の話は、『公用車問題』というよりは、知事の勤務状態の問題。体重が7キロ増えたのは同情できますが、ちょっと(昼間のジム通いを)我慢していれば、足をすくわれるような動きはなかったのでは」
今回の件は橋下知事の「脇の甘さ」が狙われたという面もありそうだが、浅野氏は、知事に、このようにエールを送っている。
「今回の件は、目くじらを立てるような話ではありませんが、批判を受ける可能性はある。ただ、こんなことは(府政が安定するまで)半年も経てば、何でもない話になりますよ。こんなことにエネルギーを使うのはもったいない。彼も(問題化されて)腹立っていると思いますよ」