金の価格が高騰している。貴金属事業を展開する田中貴金属工業によると、2008年7月15日の金の小売価格は1グラムあたり3505円で前日比6円上昇。前週の7月9日から4営業日連続、151円と急上昇した。じつに25年ぶりの高値で、連日の高値更新となった。国内の金相場は米ドル安を背景に3月に高騰、その後一時下がったが6月に入って再び上昇してきた。「まだ、上がる」との見方も出ている。
小さい市場に多くの資金流入
金の価格が上昇している。「まだ、上がる」との見方も
金価格が上昇する背景には、米国の金融不安がある。サブプライム問題をきっかけに経営危機が懸念されているファニーメイ(連邦住宅抵当公庫)とフレディーマック(連邦住宅貸付抵当公社)への公的資金の注入案が浮上しても、動揺は収まらない。田中貴金属工業は、「米ドルの信用リスクが高まり、下落する。その影響が大きい」とみている。
また世界的な株式市場の低迷で、投資マネーが原油や穀物など「モノ」に流れていて、金への資金流入もその表れといえる。「(金の市場は)株式に比べてケタ違いにマーケットが小さいのに、そこに多くの資金が流れ込んでいる」(同社貴金属部)ことが、急上昇の要因でもある。
金の価格上昇を受けて、金地金を換金するお客が増えているが、田中貴金属工業では「高値ではあるが、(市場に)動きがあるので、そこに注目して購入する人は少なくない」と話している。金には相場変動リスクがあるが、それ自体に価値がなくなることはない。インフレヘッジとしてのニーズや、株式や債券などとともに分散投資のひとつとして着目する人も増えているという。
原油価格の高騰などでインフレ懸念が高まり、金の価格上昇は世界的な流れ。国際相場の上昇につられて国内も上昇しているというわけだ。