若年層がテレビや新聞から遠ざかっていると指摘されて久しいが、大手広告代理店の調査によると、東京都の場合、パソコン(PC)やケータイを含めた、あらゆるメディアに対する接触時間が減少していることがわかった。特に、PCの利用時間は初めての減少を見せた。その中で、唯一安定した伸びを見せているのがケータイだ。調査した会社では「PCからケータイへのシフトと、検索してピンポイントでコンテンツを見るようになっているのでは」と分析している。
ケータイ小説の利用が、携帯利用を後押し?
東京ではPCの利用時間が初めての減少をみせた
大手広告代理店の博報堂DYメディアパートナーズ(東京都港区)は2008年7月8日、消費者がメディアにどのように接触しているかを調べた「メディア定点調査 2008」の結果を発表した。東京都、大阪府、高知県の3地区の消費者を対象に、1日にマス4媒体(新聞、テレビ、雑誌、ラジオ)とインターネット2媒体(PC、ケータイ)に接触する時間を聞いた。
東京都での結果を見てみると、PCの利用時間が59.4分で、07年に比べて2.4分減。04年の調査開始以来、初めて減少に転じた。一方、ケータイは3.6分増の17.7分だった。J-CASTニュースが06年に「フツーの家庭から パソコンが消える日」という記事で報じたとおり、消費者がインターネットに接続する手段が、PCからケータイにシフトしつつあることを裏付けた形だ。
博報堂DYパートナーズでも、
「PCを使わなくても、ケータイでインターネットにアクセスすれば事足りる場面が増えているのではないか、という仮説を持っています。特に、若年層のケータイ小説の利用が、この傾向を後押ししているようです」
と分析。同調査では、10代男性の26.5%、10代女性では実に71.0%がケータイ小説を利用したことがある、という結果が出てもいる。
ただ、ケータイの利用時間は安定して増加しているのに対して、メディア自体への接触時間は減少傾向なのだ。08年の6媒体あわせた接触時間は1日あたり319.3分。06年は335.2分、07年は324.9分で、微減が続いている状況だ。