ケータイやPHSなどのコンテンツの安全性を審査するために設立された団体が、SNSなどの分野で「健全」なサイトを認定するための基準を発表した。「裏サイト」や「出会いサイト」対策のために携帯電話各社がフィルタリング(アクセス制限サービス)などの対策を進めるが、現状の制度ではSNSまで見られなくなってしまうため、業界からは対策を望む声があがっていた。どのようなサイトが、フィルタリングから逃れることができるのか、実際のところ未だにはっきりしていない。
「モバゲータウン」や「魔法のiらんど」にアクセスできない
「モバゲー」は「セーフ」になるのか
モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)は2008年6月30日、SNSなどの「コミュニティーサイト」が適切に運用されているかどうか認定するための基準を発表した。
この基準が発表された背景には、フィルタリングサービスの導入をめぐる混乱がある。従来、ケータイ各社はフィルタリングサービスの導入に消極的だったが、総務省の要請を受け、これを一転。08年1月から2月にかけて、サービス加入対象を「希望者」から「未成年の契約者は原則加入」に改めた。同サービスに加入すると、出会い系サイトなどの他に、掲示板に書き込みができる「コミュニケーション」と呼ばれるカテゴリーのサイトにアクセスできなくなるが、大手SNS「モバゲータウン」や、ケータイ小説が多数生まれた「魔法のiらんど」まで同カテゴリーに含まれ、アクセス出来なくなってしまう状態が続いている。
例えば「モバゲー」は400人以上の監視体制を敷くなど、有害コンテンツを排除する取り組みを進めているが、「コミュニケーション」という分類で十把一絡げにアクセスが禁止される現状に対して、コンテンツ業界からは不満の声が上がっていた。それ以外にも、自治体が民間のブログサービスなどを利用して災害掲示板を設置した場合も、「コミュニケーション」に分類され、アクセスできなくなるという問題が発生していた。
そこで、「健全」なサイトを認定するための機関として、08年4月に前出のEMAが第三者機関として設立され、認定されたサイトは、フィルタリングが適用された際でも、アクセスが可能になる方向で調整が進んでいる。