学生の数を上回る父母が出席した東京大学の2008年入学式で、特別栄誉教授の安藤忠雄さんが「子離れしろ」と発言した。メディアでも取り上げられ、「これは過保護なのか」がネットで議論になっている。
52%が「過保護だと思う」と回答
大学の入学式に親が出席するのは過保護なのか?
2008年4月11日に行われた東京大学の入学式には3100人の新入生と、父母ら5300人が出席した。祝辞を述べた安藤さんは、
「親は子を切り離し、子は親を切り離せ」
「子供が大学生にもなったら、子は親を離れ、親は子離れすることが必要です」
と再三訴えた。
これが産経新聞4月16日に取り上げられ、さらに、「Yahoo!ニュース」では大学の入学式に親が出席するのは過保護か否かという意識調査を実施した。11万4653件の回答のうち、52%にあたる5万9466件が「過保護だと思う」とし、見方は分かれた。
「過保護だと思う」と回答した人のコメントでは、
「子供が今年入学したのですが、半数以上の保護者が出席。さらに入学式後、保護者の大学内の見学会まで実施され多数の保護者が出席してました。もう自立してもいい歳だと思うのですが、まるで幼稚園みたいな扱いを大学側が嬉々として実施しているのにがっかりしました」
「東大ともなると、親も鼻高々というのは分かりますが、入学式を精神的自立のスタートの日にした方がよろしいのでは」
また、
「入学後の各手続きや問い合わせには絶対学生本人にさせて欲しい」
と、大学職員と名乗る人のコメントもあった。
一方、「過保護だと思わない」という回答は、4万8592件に上った。
「子供の晴れ姿を見たい親の気持ちは、普通だと思います」
入学式に出席するのは親心の表れで、過保護とは異なるという意見が多い。なかには、こんなものもある。
「高い入学金や授業料を払ってるんだから、どんな所なのか確認するのは当たり前だと思います」
「お金と愛情の正当な対価として子供の大学の入学式に出席する権利がある」
「その大学に入らすために、親がいくらつぎ込んだと思ってんねん!! 子供だけの力で入ったんじゃないんだぞ!! 親もがんばったんだから、いいでしょう!」
こんな論争になっていることに対し、東京大学の担当者は「安藤先生の祝辞の一部分だけが取り上げられた」とだけ話している。東大では入学者1人に付き、2枚の入学式招待券が配布される。