少年事件の被害者側が、意見陳述で少年に暴言を吐いたり、ネットで実名公表したりするケースがあることが、日弁連の調査で分かった。被害者側の審判傍聴を認める少年法改正案が国会に提出されているが、こうしたケースもあることから、関係者の間では賛否両論が出ている。
「あなたは一生結婚してもいけない」
「人の話を聞くのに何でイスに座っているのか! 床に正座しなさい」
大阪府内で昨年に起きた少年による傷害致死事件で、被害者の親が、少年審判での意見陳述で、少年にこのように怒鳴りつけた。
そればかりではない。陳述が終わると、わが子が死んだことに割り切れないこの親は、少年に向かって、物を放り投げたというのだ。
少年事件の審判は、非公開で行われるが、意見陳述などで被害者側が審判期日に呼ばれることがある。日本弁護士連合会の少年法問題対策チームが弁護士に聞き取り調査をしたところ、このケースのように、意見陳述の機会などで、被害者側から少年に暴言、暴行など逸脱した行為があることが分かった。
大阪の事件では、死んだ子どもの親が、調書の内容や審判廷での様子をネット上で公開。そこでは少年の実名までが暴露されていた。その後、この親にネット公開中止の申し入れがあり、ようやく名前の一部が伏せ字となった。
逸脱行為は、ほかにもいくつか報告されている。
埼玉県内での傷害致死事件では、送致事実では少年の殺意は認められなかったにもかかわらず、被害者の親は意見陳述で、少年に対し、「そんなに人を殺したかったのか」と叫んだ。さらに、「悪魔」「人間とは思えない」と指弾したうえ、「あなたは一生結婚してもいけない」と言い放った。
これ以外にも、被害者の親が、数十億円単位の損害賠償請求をすると主張した横浜の傷害事件も。
悪質なため逆送されて公開の刑事公判になった大阪の傷害致死事件では、被害者の親族らが、柵越しに少年の背後から頭を蹴りつけ、「出てきたらどうなるかわかっとるんやろな」と脅したこともあった。