フジテレビが公式サイトで、スピリチュアル番組に問題があるとした有識者の意見を十分に活かすと約束していることが分かった。これは、カウンセリングを受けた女性が抗議した問題を受けての言明だ。今後は、テレビ朝日の同じスピリチュアル番組「オーラの泉」の行方に、注目が集まりそうだ。すでに、番組打ち切りか、といった憶測が飛んでいる。
「非科学的、荒唐無稽な霊視が番組の中核」
江原啓之さんの公式サイト
フジテレビに対しては、2007年7月28、29日放送の「FNS27時間テレビ」で、意に反してスピリチュアル・カウンセラー江原啓之さん(43)のアドバイスを受けさせられたと秋田県の女性が抗議。これを受けて、「放送倫理・番組向上機構(BPO)」が「人間の尊厳を傷つけかねない」とする意見書を出していた。
公式サイトで08年4月2日に公表したのは、その意見書を踏まえて社内で議論した結果の報告書全文。それによると、プロデューサー間でアンケート、勉強会を行い、それを元に番組制作ハンドブックを改定した。改定部分は、出演者の人権に配慮するなどの内容で、スピリチュアル番組を止めるかは明言していない。が、プロデューサーや外部有識者からは、かなり厳しい意見があった。
例えば、プロデューサーアンケートでは、「非科学的な根拠の薄いテーマを題材にした番組制作に対する一層の注意喚起が不可欠であることを実感した」「構成を立てる段階で、江原さんありきから始まっていたのではないか」との声が出た。
外部有識者では、フジテレビ顧問の清水英夫弁護士が、「一番の問題点は、スピリチュアル・カウンセリングと称する非科学的、荒唐無稽な霊視を番組の中核に置いたことである」と断言。そして、「問題は、今後の番組作成において、『羹に懲りて膾を吹く』ことなく、それが遵守されることであろう」とクギを刺した。
これに対し、フジテレビは、報告書の中で、「有識者の方々からいただいたご意見を、今後の番組作りの中で十分に活かし、放送番組の質の向上に努めることをお約束いたします」と宣誓したのだ。これで、もし視聴率に目がくらんで今後スピリチュアル番組に手を出すことがあれば、「約束はウソだった」との批判が噴出しそうだ。
一方、江原さんは、J-CASTニュース1月25日付記事のように、公式サイトでフジテレビの番組作りを批判していたが、スピリチュアル批判を活かすというフジの「約束」をどうみるのか。
しかし、江原さんは、J-CASTニュースの取材に対し、「誤認報道もあったようですので、フジテレビ制作番組に関しましては、フジテレビ広報にお問い合わせいただけますよう、お願い申し上げます」とコメントを寄せたのみだった。